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サテライトオフィスだと何が変わるの?

2020.08.13

リモートワークでも誰も困らなかった
コロナの影響で、当社でも他の企業と同じように完全なリモートワークになった。社員には自宅で仕事をしてもらい、作成したアウトプットを提出してもらう。チームのリーダーが、修正すべき点をチャットやWeb会議で伝える。仕事の内容が、デザインやシステム開発がメインなので、アウトプットが分かりやすい形で出て来る。それに対して、ちゃんと分かる形でコメントを伝えられれば、社内でのPDCAサイクルは回っている。その場で話したり、ホワイトボードに書いたりする、リアルタイムでのコミュニケーションはなくなってしまった。ただ、リーダーがしっかり考えてから指示を出す分、社員にムダな作業をさせてしまう部分は減ったかと。社員も、元々それぞれが独立して仕事をしているせいか、違和感なくリモートワークになじみ、逆に長時間の通勤がなくなったことを喜んでいるようだ。

オフィスは楽しむところと割り切り
社員がオフィスに集まる意味は、もはやない。みんなが集まりやすい都心のオフィスにこだわる必要もない。それならば、楽しい場所で仕事をしたら良いのではと思い始めた。自然あふれる環境の中で、ワークとバケーションが一体となった「ワ―ケーション」という働き方。思い切って、交通の便が悪くてすぐには帰れないところで、緑が多いところを探してみた。きれいな渓流が流れているとさらによし。とはいっても、都心のオフィスから5時間も6時間もかかると、さすがに利用しなくなると懸念してしまった。都心から2時間圏内で行けるところで、駅や高速のインターからも離れているところ。さらに、トレーラーハウスの事業も行っていることから、設置できる広い土地を確保しやすいところという条件も加わった。
見つかった場所は山梨県の道志村。日本一キャンプ場が多い町として、有名な村。道志村では、ちょうど2020年9月よりサテライトオフィスの運用を開始する予定で、まずはそこをサテライトオフィスとして使用させて頂くことにした。将来的には、村内で300坪程度の土地を手配して、トレーラーハウスを数台設置して、「ワ―ケーション」を実行できる環境にしていく構想もある。

気分を切り替えるには高速の近くではダメ
初めてのサテライトオフィスの利用。何度か見学には言ったものの、実際に使うのは今回が初めて。東京のオフィスから約2時間、お盆前で車の数も多く、思ったよりも時間が掛かってしまった。まだ慣れない山道の走行では、なかなか上手くコーナリングをすることができない。地元の方の車はスイスイと曲がっていくので、慣れればもっと時間を短縮することはできそう。山道を30分も走ると、日常のモードからスイッチが入れ替わった感覚がする。運転に集中するので、頭にこびりついた思考がいったん取り払われる。山道を抜けた時には、頭の中は空っぽの状態になっている。やはり、高速のインターから離れた場所にして正解だった。
道志村サテライトオフィス
http://www.vill.doshi.lg.jp/satellite-office/

都心のオフィスと遜色ない環境
サテライトオフィスの建物は、以前、横浜市のスポーツ体験施設だったところで、前には大きな芝生のグラウンドが広がっている。中に入ると、壁には一面杉の板が張られており、雰囲気は抜群。まるで、ロッジで仕事をしている感覚を味わえる。

残念ながら、こちらは個人用のコワーキングスペースということで、法人として契約している我々の実際のワークスペースはこちら。後ろに見える障子がレトロな雰囲気を醸し出している。最初に見学に来た時よりも、什器が増えて、オフィスらしくなっていた。机と椅子は、使い込まれて味のある木製で、廃校になった小学校で使用していたモノを持ち込んだそう。光回線のwifiネットワークが用意されて、Webはサクサク動くし、Web会議も映像・音声ともに途切れることはなし。各社専用の冷蔵庫もあり、飲み物を買い込んでおけば、近くに自販機やコンビニがなくても問題なし。共用の大型モニターも今後用意されるようで、設備としては都心のオフィスと遜色ない。ただ、椅子だけは、長時間座っているうちに、腰が痛くなってしまったので、今後は自社で調達したオフィスチェアを持ち込む予定。

新鮮な気分で仕事ができる!
窓から見える外の風景は、緑一色。秋には、一部が紅葉になるということで、楽しみ。普段なら仕事に疲れるとネットやSNSを見てしまうものの、ここでは思わず外の緑に目をやってしまう。たまたま、同じ日にWeb会議をしたブレインテックの方からは、色の集中力に与える影響を聞きました。緑にも何らかの効果があるかも知れない。

日差しが弱くなってきた夕方からは、外で仕事をしていた。室内のwifiが外まで届くので、さくさく仕事ができる。やはり、これだけ広いスペースを一人占めして仕事をするのは、開放感が半端ない。芝生の草の匂いと虫の音を聞きながら、リラックスして仕事が出来た。サテライトオフィスの醍醐味の一つを実感。ただ、持ち込んだアウトドア用のチェアでは、お尻が沈み込んでしまい、姿勢が悪くなるので腰に痛みが出てきた。こちらも腰痛になりにくいアウトドアチェアを用意する必要がありそう。その後、同じ場所でコストコの肉のBBQを楽しんでから、20時過ぎに家路についた。帰りの山道はなかなかスリリングで、宿泊して翌朝早く帰るか、暗くならないうちに帰らないと逆に神経が疲れてしまう。

まだバケーションのみ
最初のサテライトオフィスの利用は、実質的に4時間程度。心の洗濯という意味では、ゆったりとした時間の流れの中で、だいぶ寛ぎながら仕事をできた。また、金曜日に利用したので、木曜日には明日サテライトオフィスに行くという解放感から、まるで金曜日の感覚でした。つまり、1週間に2度、金曜日の仕事から解放される気分を味わえるということ。「ワーケーション」とはこういう感覚なのかと、一人納得していた。
4時間の利用に対して、移動とBBQが7時間。圧倒的にバケーションモードだった。これから、往復3時間程度の移動時間を取り返す程の価値を見出していく段階に入っていく。効率性のアップなのか、創造性のアップなのか、まだ分からないが、少なくとも宿泊できれば、もっと効率面からは改善できる余地があるかなと。今回は、コンサルタント、デザイナー、エンジニアという専門性の違う3人が参加した。コンサルタントとしては、常にプロジェクトに関する思考が続いている感覚から一度リセットされて、すっきりした実感はあり、他のメンバーの感覚も聞いてみたいところ。
今後は、オフィス設備の改善を続けながら、宿泊というスタイルを開拓していく予定。3ヶ月程度で運用が落ち着いて来たところで、実感がどこまで変わっているかいまから楽しみだ。